2018年11月5日
府立医大で主治医から先日のPET検査の結果を聞いた。
母の乳がんは全身の骨に転移したから、PETには複数の病変が写っている。その中には前回と比較して良くなっていると思われる部分と悪化が疑われる部分が混在している。一進一退、といったところか。
主治医が言うには、現在服用している薬の効果がだんだん落ちているらしい。そろそろ新薬に切り替える時期なのだ。でも、母は新薬を服用することによって発生する後遺症をものすごくおそれている。”後遺症の苦しみは二度と嫌だ”、”後遺症を経験するくらいなら薬はもうやめる”、と母は言う。主治医は薬をやめてしまうことを勧めない。もちろん。薬をやめてしまうとおそらく急速に状態が悪化し、どんどん苦しくなるだけだろう。やめずに薬の服用を続けると元気で暮らせる期間を長くすることができる。たとえ薬をやめた場合と結果的に死期がおなじだとしても。
さらに母は緩和ケアに興味がある。もう薬をやめて緩和ケアを受けたいと言うのだ。主治医によると、緩和ケアは死期の迫った人が受けるケアという従来の認識とはちがって治療中の人が体調が悪く辛い時に受けるものに変わってきている。つまり、通常のがん治療中に緩和ケアを受けて元気になれば緩和ケアを休む、卒業する、また辛くなったら緩和ケアを受ける、というように治療中に織り交ぜていくものなのだ。でも母の緩和ケアのイメージは安楽死である。
診察室で母は切れる。”死ぬこともできない。もう家族だっていいかげんにしてくれと思っている。”
家族は誰もそんなことを言っていない。思っていない。いつも付き添っている私はいったい何なのだろう。
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