蛸薬師のマンションは?

両親

2016年11月27日

私には弟が二人いる。一人は京都市内に暮らし、一人は東京在住。姉が賃貸マンションのひとつも探せないことにあきれ果てたのか、京都市内にいる弟が伝手のある三井のリハウスに依頼して、河原町蛸薬師に近い賃貸マンションを紹介してもらってきた。

河原町蛸薬師!ですよ。

繁華街にも近く、文句なしの立地である。素晴らしい。ここを気に入ってくれたら、ちょっとくらい賃料が高くてもここに決める!て言うか、もうここに決める!

早速内見のアポをとり、今度は私と私の夫、弟、両親の5人で日曜日の夕刻に河原町蛸薬師に出かけた。京都大丸の横を通り抜け、繁華街を歩く。こんなとこに住めたらいいねえ。なんてね。

しかし、繁華街だろうがなんだろうが、だめなものはだめで、5人でぞろぞろと内見した河原町蛸薬師のマンションは、またしても母によって却下された。

河原町蛸薬師マンションは、西陣マンションより室内の段差は少なかったし、騒音も無かった。ただ、窓の外にはすぐ隣のマンションの壁が迫っていて、その上夕刻で部屋が真っ暗だった。小規模マンションで、同じフロアに2軒しか入っていないことを、母はとても気にした。隣が若い人達だったら、嫌がられて邪慳にされるにちがいない、と言うのである。高齢者に貸してくれるオーナーがいない、という話をたくさん聞かされてしまってすっかり卑屈になってる。

でも、これを断ったら、転居の話は宙に浮き、しゅわしゅわ音をたてて消えていってしまうだろう。せっかくここまで頑張ったのに、と、私は自己憐憫の中に沈み込んでしまいそうになる。

あきらめきれない私は、とりあえずしばらくの間、河原町蛸薬師のマンションを宙に浮かせ続けておくことにした。

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