2018年6月24日
おやつを食べ終わった父が、口火を切った。
”老人ホームの契約を取りやめたい。今の家に帰って自立して暮らせると思う。”
父がこんなことを私に断言したのは初めてだ。どう答えようか少し悩んだ。相変わらず父のおしっこ問題は解決していない。看護師さんが父の排尿の記録をとってくれていて、それを見るとかなり悲惨なままである。2つ以上のことに注意を向けられないという問題も残っている。足元はまだまだ不安定である。日常生活ってささいなことの繰り返しで、障害が少しくらいあっても大丈夫なのかもしれない。でも、例えば台所で立ってコップを洗うという動作にしても今の父には簡単な作業ではないし、トイレでズボンを上げ下ろしすることも難しい。母は父の役には立たないし、父を助けることもできない。いったいどうするんだろう?
”自立できるかどうか、私は確信できない。今の状態ではまだまだ心配で、じゃ家に戻ろうと言えない”と私は答える。それしか言えない。
父はそれきり黙り込んでしまった。私はふと気になって、父のスマホの履歴を見た。ああ、やっぱり。
スマホには昨日の母との通話履歴が残っていた。母が電話で父に契約破棄を申し出るよう要請したのだろうと思った。この件に関しては母の反対が強く、父の反対は弱い。母は不甲斐ない父に反対の旗を強く掲げるよう発破をかけたのでしょう。父はとりあえず私に契約破棄の希望を言ったけれど、それ以上の反対を唱えるには自信が無いのだろうと思う。
このまま老人ホームに転居すると後々大変なことになりそうな予感がする。不吉な予感。でも転居をやめて家に帰っても大変なことになるだろう。こっちもかなり不吉な予感。どっち行くのも不吉。
コメント